こんにちは!最近中途入社したI.Kです。
私の家でも16歳を超えてもまだまだ元気な猫飼っていますが、前出の彼とは別人です(笑)

前回、このタイトルでの投稿はもう2年以上前になるんですね。
後任でQAの話を頼まれまして筆を取りました。
前回を踏まえつつQAについて掘り下げたいと思います。

そう一念発起して、まず書く前に一般常識からズレないようにGoogleで検索してみましたよ、「品質保証 歴史」ってね。

でも、「なんだこれ?品質管理の歴史ばっかりだな」となりました。

少なくとも検索上位には品質保証の歴史はあまり出てこないんですよね。

これじゃあ筆も止まるはずだ。

まぁ、私は結構歳を喰ってますし、品質の歩みも感じながら仕事してきてますので、実体験を混ぜながら解説していきたいと思います。

 

品質保証って歴史薄いの?

まず発生の順番からすると、品質管理があってそこから枝分かれして品質保証って概念が生まれています。

どうしてそうなったのか、まずは品質管理の歴史から簡単におさらいしましょう。

 

近代的品質管理の原点はアメリカでの武器作りでした。

1920年代にベル研究所が統計的品質管理手法を提案したのが始まりとされています。

大量に消費される武器がいざと言うときに機能しなければ大変ですよね。

大量の製品を作りそして使うときに、材料や作業者によるバラツキがあっては勝敗を左右しかねません。

この手法がやがて車作りなど、民間産業にも活かされアメリカは生産大国となります。

 

ここで二つの立場が生まれます。

・作り手側
 不良のない安定した品質のものを大量に作るための品質管理

・買い手側
 供給者から品質の良い品を買うための品質管理

品質管理における2つの立場|bravesoft

 

 

作り手側の品質管理から買い手側重視の品質保証へ

作る側の品質管理手法は、1940年代に戦後の復興の一環でアメリカから日本にもたらされました。ただ、すぐに結果が出る訳でもなく、メイドインジャパンは「安かろう、悪かろう」と評価されていました。

1950年代に入ると日本は敗戦から経済復興する中でモーレツに頑張ります。

アメリカの統計学者デミング博士を迎え日本科学技術連盟によって日本にデミング賞が創設されます。

これによって爆発的に品質管理が普及する中で、ファイゲンバウム博士の全社的品質管理(TQC)や石川馨教授のQCサークルを取り入れて、やがて日本的なTQCが生まれ経済と共に発展します。

1970年代はTQCにより日本の製品品質が高まり「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とまで謳われるようになり、その手法はアメリカに逆輸入されるようになります。

1980年代には品質システムの国際規格ISO9000シリーズが制定されます。しかしこの段階ではまだ作り手側重視の規格だったと言えるでしょう。

大量生産・大量消費時代。作り手側は、購入者から言われなくても製品品質を確保することは死活問題でしたが、それは作り手側が「確かに良い品質に作った」という確信を持つため、いわゆる自己満足だったかもしれません。売り切ってしまえばよいという、消費者が弱い時代だったと言えるでしょう。

そして1990年代、製造物責任法(PL法)が制定され、これによって製造物に欠陥があった場合に損害賠償が出来るようになりました。

激しい競走の中、偽装・改ざんなど、安心を揺るがす事件が多発し、企業の責任が問われ始めます。

そんな中、TQCはTQM (Total Quality Management:総合的品質管理)へと変わっていきます。

2000年代、改正消費生活用製品安全法が施工され、製品事故は経済産業省への報告が義務化され、TQMではこういった顧客志向が取り入れられるようになって来ました。

そして2010年代、顧客志向からさらに発展し、市場そして社会に対しての責任を果たす、経営の在り方についても問われ、社会的に尊敬される存在感のある立派な企業を実現すべく発展して来ました。

このように、

  1. SQC:Statistical Quality Control:統計的品質管理
  2. TQC:Total Quality Control:全社的品質管理
  3. TQM:Total Quality Management:総合的品質管理

へと発展して来たのです。

品質管理から品質保証の発展推移|bravesoft

 

品質保証とは何か

顧客から市場そして社会志向が取り入れられ、製品の品質に直接関与する現場から経営を含む品質保証体制を作る時代へと発展しているとはいえ、作り手側の品質管理の傾向が強いことは否めません。

では品質保証とは何なのでしょうか。これにはいくつか解釈があります。

  • 予め計画を立てた製品をスペック通りに作り提供すること
  • ISO9000シリーズでは、品質保証とは「製品またはサービスが所与の品質要求を満たしていることの妥当な信頼感を与えるために必要なすべての計画的および体系的活動」と定義されています。
  • 日本品質管理学会では、品質保証とは「顧客・社会のニーズを満たすことを確実にし、実証するために、組織が行う体系的活動」と大枠では説いています。

これらを踏まえると、

「顧客・社会のニーズを満たす製品を確実に作り、実証するために組織が行う行為で、顧客・社会のニーズを満たす体系的な活動。これは顧客・社会へ嘘偽りない事を約束し、それを守る事が根底にあり、加えて感動してもらえるような期待に応えるため、顧客・社会ニーズの把握から、作り込みプロセス、資源調達、経営および継続的な利害関係者とのお付き合いに至る、全てのプロセスのPDCAを回す活動」と、私は解釈しています。

品質保証とは何か?|bravesoft

 

私の経験から考える品質保証とは

パソコンアプリなど時間を頂くもの、お金を扱う銀行ATM、搭乗者の命を預かるクルマの電子制御の仕事を通じて、品質管理の仕方・作るドキュメントのレベルや深さは違うなと現場で感じていました。

 

私が初めて品質関連の本を手にしたのが1990年代にクルマ関連の仕事をしていたときです。

正式なタイトルは忘れましたが、飯塚悦功(東京大学名誉教授)先生がお書きになったTQMに関する本だったと記憶しています。

 

品質保証の規格であるISO9000はどのような製品・サービスにも適用できるように汎用的に作られていますが、そこからさらに掘り下げた品質規格が、自動車・医療・航空宇宙と預かる価値や事故が起きたときの社会への影響の度合いによって業界別で用意されていたりします。

1990年代にISO9000の認証取得のための活動をやらされたこともありましたが、作り手側に寄っていて誰のためにやっているのかという疑問と、実際の業務とはかけ離れた余計な仕事をやらされた印象が強かったです。

2000年代には、自社製品を手掛けるようになり、カスタマーサポートの体制を整えたりもして来ました。

ハードクレームが入ると担当製品の開発長だった私のところに電話が回ってきます。それ以上炎上させないために接遇などの研修を受けたりもしました。接遇とは飛行機の客室乗務員が飛行中にお客様が暴れ出して大きな事故にさせないように、火種を察知して鎮火する接客・おもてなしスキルです。

いろんなクレームが入ってくるとその対応だけに終始するサポートメンバーはとても疲弊します。

元々、サポートと製品作りをするチームには壁がありました。サポートはマーケ部隊の管轄で、開発部隊は開発に集中していました。開発チームにクレームを直接聞かせるとモチベーションが下がると思われて配慮されていたのかもしれません。マーケは大きな売上実績を上げていましたし、開発は喜んで貰える機能を楽しみながら作れていました。個別最適で満足度もそれなりにある状態だったと言えましょう。
でも後から思えば自己満足だったのかもしれません。

あるきっかけでクレームの実情を知り、私にはこれら寄せられたご意見は宝の山だなと気付かされました。

クレームから逃げずに向き合い拾い上げ、製品作りに活かすとサポートメンバーも喜んでくれてやりがいを感じてくれます。この循環が大切でした。

それからは開発者にもイベントショーでの説明員に立ってもらい、お客様から直接お話を聞く機会を作るようにしました。スタッフロールのイースターエッグを仕込んだり、マニュアルに製品に関わった全ての人の役割と名前を載せるようにもしました。その経験が自分の仕事に誇りを持てるようになり、お客様にお応えしていこうというやりがいに繋がった気がします。この利害関係者全てがやる気と喜びに満ちた状態を作ることで更なる大きな成果を成し遂げることが出来たのです。

これこそが現場の皆が肌で感じられる品質保証の原点ではないかと思います。

 

2010年前後には、前職で品質保証の担当をしていました。

認証を得るためだけの名ばかりの傾向がまだ残るISO9001認証取得活動を、実質的な実務に根ざした認証活動にするためには、経営・管理職・有志をも巻き込み体系的・全社的見直しに取り組みました。その根幹を成したのが管理職及び有志を内部監査員に教育することです。ルールの見直しもISOに偏るのではなく、PMBOKやCMMI、ISMS、ITSMSなど自社に合った形で取り込む事でこれにより短期的に品質レベルをアップさせることが出来ました。審査や内部監査といった特別な時だけ行われるのではなく、常態で全身が健康体であるには要所に核となる人を置き、全身隈なく血液が行き渡るようにしなければなりません。そして各所に合わせて栄養を行き渡らせ、痛みを脳に伝わるようになっていなければいけません。

ISO9000も改訂により以前とは随分変わったというか、魂が入ったように進化していると感じました。

このISOの改訂に大いに関わっておられたのが前出の飯塚先生でした。たまたまお声掛け頂いた日本適合性認定協会の研究会で飯塚先生が座長を務められていたので、いろいろお話しする中で大切な事を多く学ばせていただきました。ISO9000には盛り込み切れていない想いがTQM9000にはあるとの事で、それらも参考にさせて戴くことで経営にも血を巡らせられる品質経営のレベルアップが図れたと思います。

 

新たにbrave流 品質保証を模索

そして2021年1月よりbravesoftで働き始め4月から正社員化してQuality Management Officeリーダーを務めさせてもらっています。

なぜbravesoftに惹かれて入社したのか。

それはビジョンとして掲げる「最強のものづくり集団となり、挑戦が溢れる新時代を創る」を成し得る、優秀なデザイナーがいる開発部隊だったからです。

単に要件定義プロセスから開始する受託ビジネスではなく、もっと上流から参加してお客様と共創できる人達を育てようと取り組まれていることが大きかったです。

デザインやマーケティングも出来て、事業を一から立ち上げられて、顧客の期待を常に上回る唯一無二のプロダクトを実現できるエンジニア集団、これを私も造りたかったからです。

前職は親会社がものづくり工場系だったのでお堅く展開した傾向がありましたが、元々はエンタメ系開発路線を歩むなかでアジャイルという言葉もない時からアジャイルしていた者なので、もっと先駆的な事を柔軟 に、ナウいヤングにバカウケ する チョ ベリグな取り組みしたいと考えています(ここ笑うところです)。

まず開発現場を中心に即効性のある改善から全プロセスを定義しプロセスアプローチで改善を図っていく。これを核に自社事業や全社へ取り組みに広げたい繋げたいと考えています。

その報告はまた次回に!

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i.koizumi(おとさん)