世界中が感染した時、最後に生き残るのは日本人 #19

武漢発の新型コロナウィルスに世界が注目している。

中国に子会社を持つ我が社にとっては他人事ではなく、実際に社員の知人が感染したなどといった声も聞く。沈静化の目処が立ってない現状では細心の注意を払い準備するのは当然のこと。

こんなときふと思い出すのは2009年の新型インフルエンザの大流行。「パンデミック」という言葉が一躍有名になり、日本中がパニックになった。

連日のようにどこどこで発症、死亡者が出たといったニュースで溢れ、山手線の中でもマスクをしていない人はいないほど。

あれは2009年のGWのあたりで、発症源は北米だった。

・・・そしてちょうどその時、僕は友達と人生初の渡米を予定していたのだった。

前回のグランドキャニオンで死にかけた話しかり、どうもUSAにいくと何かが起きる。

もちろん、キャンセルすることも考えたが、まだまだ若くてお金も地位もない20代。もったいないしやっぱり行こうという話となり、不安を覚えながらも、成田空港へ向かった。

成田空港に人影は少なく、報道カメラが旅行者にインタビューしたりしていた。我々2人はしっかりとマスクを買い込み、戦地にでも向かうようにニューヨークへ旅立った。

ところが・・

ニューヨークに着いてみたら、マスクをしている人が全然いないのだ。

それどころかあろうことか・・

なんと我々がマスクをして歩いていると、道行く人が「おいチキン!」とか「ゴホゴホ」とか言ってからかってくるのだった。どうやら向こうではマスクをするというのはよっぽどのことらしく(あるいは逆に不安にさせるんじゃねーよバカ!みたいな感じか)変に目立ってしまったのだ。今の東京で、ガスマスクをして歩いたら同じ目に合うかもしれない。

何度かの屈辱のあと、我々はマスクを投げ捨てた。

それから5日ぐらいニューヨークをブラブラしただろうか。インフルのことはすっかり忘れマンハッタンを満喫し、あっという間に成田に帰ってきた。そうするとまた現実が出迎える。戦場は日本だった。輪をかけて日本中はマスクだらけ。文化の違いとはこういうことかと実感した。

テレビでは毎日のようにどこどこでインフルで死亡者がというニュースで大騒ぎ。今と違い誰もがテレビでニュースを見てた。発症者がでた高校に非難が集まり、マスクは飛ぶように売れた。

エンジニアの仕事は何でも疑ってみることだ。

僕は国内で1年にインフルで死亡する数を調べてみた。毎年だいたい1万人もインフルで死亡してしまうらしい。そうすると毎日のように数名は死者がでる。ニュースで言われているインフル死亡者も1日数名。あれ、いつもとペースそんな変わってない・・?

最終的に、新型インフルによって国内で死亡したのは200人だった。

1ヶ月後、厚労省は「新型インフルの死亡リスクはいつものインフルとそう変わらない」と発表した。つまりいつも流行ってるようなインフルに名前がついただけで、あそこまで騒ぐのはまさに取り越し苦労というやつだったのだ。

・・ああ!これだから日本人は心配性で数え切れないほどの保険に入り、無数の鍵を持ち歩き、占いに大金を費やし、大量のトイレットペーパーを買い占めるのか。

心配だらけでいっこうにハッピーになれないんだ!

と一瞬思ったが、ちょっと考えて思い直した。

「なんだかんだで最後まで生き残るのは日本人だな」

なにしろあのときはどうなるかわからなかったのだ。新型インフルが本当にやばいウィルスだったとしたら、ニューヨークの彼らは全滅だろう。結果論でいえば大丈夫だっただけで、本当にヤバいやつだったら、日本人だけが生き残った可能性もあっただろう。

検証までに、wikipediaによる2009年新型インフルの国別発症数の推移データをもとに100万人あたりの感染者数のグラフをつくってみた。(あくまで概算)

そう、日本人は圧倒的に感染率が低く、世界最強のウィルス防御力を誇っているのだ。

この争いばかりの世界が仲良くなれるとしたら、宇宙人が攻めてきたときだ。共通の敵がいると人は仲良くできる。新型ウィルスはまさに宇宙人のような存在。得体が知れない人類滅亡の危機を前に世界は一つになれるかもしれない。昨日も日本が中国に大量のマスクを送って中国人が15万いいね!をつけた、なんてニュースが流れていた。

日本人という民族は常に災害の危機にさらされてきた。

知ってるだろうか?

この地球上で、全人類の1.2%しか日本に住んでいないのに、大地震の20%は日本で発生する。そのうえ台風も洪水も大雪も飢餓も火事も頻繁に襲ってくる。もともと地球でイチバン危ない土地で、日本人は助け合いながら協調して乗り越えてきたのだ。1500年前に初めて作られた法律の一番最初には「和をもって尊しとなす」と書かれたのだ。

政治の「治」という字は川に台をつくると書く。助け合って洪水を防ぐところから共同体が生まれ、国となり、人類は栄えてきた。新グローバル時代に災害を機としてとらえ人類が和をもって助け合うべくリーダーシップを取るべき国は日本なのかもしれない。

政府だけの問題じゃない。

政府が電車を止めたり外出を禁止したり、入国を拒否するのもたしかに少しは有効かもしれない。しかし誰とも合わずに生きていける人はいない。

それ以上に一人ひとりの意識を変え、行動を変え、習慣化させることの効果は絶大だ。

日本が世界に教えられることはたくさんありそうだ。

・手を洗いましょう
・アルコールで消毒しましょう
・マスクをしましょう
・水回りキレイにしましょう
・料理にはしっかり火を通そう
・風邪気味なら無理しないで
・家では靴を脱ごうよ

我々からすれば当たり前の話ばかりだが、海外を旅する人は世界がいかに不潔か知っている。パリは犬のフンでまみれ、ニューヨークの地下鉄は下水道のようだ。

日本には世界一キレイで健康的で、助け合える人々が過ごしている。

政府に文句をつけて仕事をしたような気持ちになることもできるけど、あなたにできることはないだろうか?

菅澤 英司
菅澤 英司
bravesoft CEO&つよつよエンジニア社長です。よろしく!