コロナを正しく恐れるための7つの事実 #29

最良の思考は孤独の中でなされる。最悪の思考は騒動の中でなされる。
トーマス・エジソン

コロナ禍もそろそろ1年半。ようやく「ワクチン接種したよ」という声も周囲から聞こえ始め、長いトンネルの先に希望の光が見えてきた。

でも、「夜明け前が一番暗い」という言葉のように、
最近の日本はオリンピックだの変異株だので暗中大騒ぎになっている。

とあるアンケートでは8割の人がオリンピックを中止すべきと答えた。
オリンピックに前向きな発言をすると叩かれる空気を感じる。

・・でも、僕が思うにオリンピックは開催して良いと思う(延期のほうがベターだが)。

こんな些細な意見でも言い出しにくい社会は、もはや異常事態とも言える。
ついには感染を広げたことを理由に自殺する人まで出てきてしまった。

療養中の女性自殺「職場に感染広げたのでは…」思い悩む言動、メモも発見

そこで今回はコロナの9つの事実を知ることで、少しでも読者の不安を解消したい。そして「日本人は世界で劣ってもないし、むしろ誇っていい」ことも示したい。

リスクはリスクとして正しく認識して、正しく恐れよう。

①日本人はコロナに強い

日本人はコロナに強い。

これは先進国(G8)における2021年5月時点のコロナ死亡者数の比較グラフ。

日本より人口の少ないイギリスやフランスに比べても1/10程度に抑えている。

2020年2月に世界中が感染した時に生き残るのは日本人と書いた通りになってしまった。
(※アジア人はもともと体質的にコロナ耐性が強い説もある)

ただし、いくら感染を抑えても経済が死んでしまえば今度は失業者と自殺が増える。

そこでいくと実は日本は経済ダメージも少ない。下記のグラフはG8の経済ダメージ(実質GDPの落ち込み)を比較したもの。(単純な昨年対比ではなく、「2019年と同率で2020年が成長した場合と、実際の落ち込みの差異」)

日本が最も経済ダメージを抑えている。アメリカやロシアも抑えているが代償として死亡者が多い。逆にカナダは死亡者は少ないが代償として経済が落ち込んだ。

日本は死亡者も経済の落ち込みもG8で1番少ないのだ。

②日本は「米国の日常レベル」の水準を堅持

2021年4月、米国でワクチン摂取が進んだ結果、テキサスの大リーグチームは観客数制限を完全撤廃し、3.8万人(ほぼ満員)収容で試合は開催された。

この時点のアメリカで1日の感染者数は6万人。そして2ヶ月経った現在は1日感染者数は3万人以下に減少。もはやすっかり日常を取り戻しコロナの話題は過去のものになりつつある。

下記は「コロナ」の検索件数の日本とアメリカの比較。

これを見ると、「アメリカはコロナに勝利。日本はまだまだ」と思ってしまうことだろう。

ところが、現在(5/30)でも1日あたりの感染者数はアメリカが日本より多い。

日本は1日4000人程度で減少傾向。アメリカも減少中だがまだ新規感染は1日2万人もいる。

そう、日本は「アメリカの日常レベル」を一度も超過せず堅持してきたのだ。

みんなでキッチリ自粛しコロナを制圧。ワクチンも他国に一歩譲る日本。

かっこいいではないか? みんな、本当によくがんばっている。
なすべきことは犯人探しではなく、ヒーロー探しなのだ。

スタジアムを満員にしてノーマスクで試合を楽しんでいるアメリカ(1日の感染者:2万)。
2ヶ月後のオリンピックは中止にすべきだと騒いでいる日本(1日の感染者:0.4万)。

なんとも対照的だ。

③日本は法でなく「思いやり」で自粛できる

日本がコロナと経済を両立できた理由は、GoToや給付金など財政出動も影響しているが、さらに重要なことは

「一人ひとりが思いやりで最適解を形成していく日本的カルチャー」

にあると思う。

日本は、憲法で人権が保護されており他国の戒厳令(=非常事態宣言)のように個人の行動を強制的に制限することは出来ない。

下記に各国の非常事態宣言を整理した。
日本だけが強制ではなく「自粛お願いします宣言」を発令し、誰もが自主的に自粛した。

5月末現在、緊急事態宣言下でも街に人が溢れている。それでも第4派は収束しつつある。

街を歩いているのはエゴの塊ではなく、思いやりである。
感染は避けたい、でも少しは出かけたいし、いきつけの店は少しでも助けたい。

100人いれば100通りの自粛の仕方がある。統一のシンプルなルールを当てはめるより、それぞれ思いやりベースの自粛行動をしたほうが合理的ですらあるのだ。

ルールには限界がある。ルールでは無限にある状況を指示しきれない。密を避けた青空パーティならやってもいいかもしれないし、逆に高齢者等の健康に不安がある人が近くにいるなら、緊急事態宣言が出ていなくても強い自粛をすべきだろう。それらすべてをルール化することはできない。

また強引なルールを矯正した結果、経済も落ち込むだろうし、反発心から逆に地下で盛大な3密パーティが秘密の内に開かれてしまうかもしれない。

厳格なルールではなく、想いやりをベースとした緩やかなカルチャーで、我々はワクチンも使わずコロナを4回もしっかり抑え込み、経済打撃も最小限に抑え、そして現在はスゴい勢いでワクチン接種を進めているのだ。

もっと誇ってよいのでは?

④コロナ死亡者の85%は70代以上

下記、厚生労働省の公表資料を元に作成されたグラフは、コロナで死亡した人は、「実はコロナがなくても死亡した可能性」を示している。

2019年の全ての死亡者の85%程度は70代以上
2020年のコロナ死亡者の85%程度は70代以上

※引用:ダイアモンド社「日本のコロナ自粛がどう見てもバランスを崩している理由」

もし、コロナで50,60代の死亡率が大きく高まったとしたら、「コロナは死に至る病」と強く恐れる必要がある。しかし、データを見る限りそうではない。

コロナは死亡リスクが高い人の体力を奪い死亡させてしまう感染病なのだ。逆に言えば死亡リスクが少ない人を死亡させてしまうほど強くはない。

だからと言ってコロナは恐ろしくないと言うつもりはない。
緊急事態宣言等で抑え込み少しでも犠牲を防ぐべきだ。

ただ、「コロナはどんな人でも死に至る伝染病」と言うなら恐れ過ぎだ。
「コロナがきっかけだったが、天寿をまっとうした」と本人は感じているかもしれない。

⑤コロナで日本の死亡者は減少した

下記、厚生労働省の公表資料を元に日経新聞が作成したグラフによれば、

2020年はコロナで死亡者が増加したが逆にインフル他を理由とする死亡者は減少。
結果として、2020年は例年より年間死亡者は大きく減少した。

引用:日経新聞「年間死亡数11年ぶり減 コロナ対策で感染症激減」

ざっくり言うと、2020年に起きたことは

コロナ死亡者が3000人増加
インフルエンザ死亡者は5000人減少

インフルエンザで死亡する可能性があった層が、コロナで死亡したと見ることができる。
それにしてもこれだけ恐れられるコロナが逆に死亡者を減少させたというのは皮肉的。

勿論それでもなお、コロナは恐ろしい伝染病だ。
しかし「インフルエンザと比較できないほど非常に恐ろしい」という程でもなさそうだ。

⑥コロナの致死率はインフルエンザの3倍

ワシントン大学の研究によればコロナの致死率はインフルエンザより3倍高いそうだ。

ダイアモンド「新型コロナ、致死率はインフルエンザよりもはるかに高い」

はるかに高いといえど、3倍である。

日本社会のコロナに対する恐怖心はインフルエンザの100倍ぐらいではないだろうか?

あなたの体力では、3回インフルエンザになると1度は重症化するか?
もし答えがNOであれば、コロナはあなたにとっては大きなリスクではない

世界最強の体力自慢が集まり無観客で実施するイベントを中止する必要があるだろうか?
コロナへの恐怖やストレスのはけ口として現代の魔女狩りにあっているとは言えないか?

⑦若者感染者26万人中、死者は85名

2021年3月24日時点の厚生労働省の発表によれば、約1年間でコロナに感染した若者は26万人いる。そのうち死亡したのは85名だ。

糖尿病の基礎疾患を持つ20代の力士が亡くなったというニュースもあったが、26万人中、何らかの基礎疾患を持つ85名だけが亡くなったと思われる。

日本では毎年30万人が交通事故にあい、3000人が死亡する。若者にとってはコロナより自動車のほうがよっぽどリスクが高いのだ。

ちなみにここで言う「若者」には「〜49歳」まで含めている。

下記に厚生労働省の発表からこの1年間の感染者1万人あたり死亡率を世代ごとに整理した。
たとえば30代の1万人がコロナに感染したとして、死亡するのは2.6名だ。

若者にはコロナのリスクは小さいが、80代なら40代の10倍以上まで死亡リスクが高まる。
それでも80代以上の8割以上はコロナから回復して帰ってくる

お正月のお餅から始まり、あらゆる行動には必ず死亡リスクがついてまわる。
大切なことは思考停止にならずにリスクの大きさを正しく知っておくことだ。

最優先は高齢者へのワクチン

9の事実から分かることは、コロナ問題とは(既によく言われてるように)「高齢者(や健康不安な人)の感染をいかに防ぐか」に尽きる問題である。

若者の感染が怖いというよりは感染者数が増えて高齢者に感染させるのが特に怖いのだ。

つまり高齢者へのワクチン接種が完了する7月末が、我々がコロナに勝利する時だ。
政府は7月末までに完了できる見通しの中でオリンピックを開催するつもりなのだ。

コロナを正しく恐れるなら、高齢者との接触が多い人はやはり強めに自粛するべきだろう。
接触機会が少ないのであれば、過度な自粛より、バランスを見て経済を回すべきだ。

経済経済というと社長のポジショントークのようだが、命の問題でもある。

さっきの統計によると若者の3000人がコロナに感染すると、1名が死亡してしまう。
そして総務省の発表資料を元にした記事によれば300人が失業すると、1名が自殺してしまう

若者にとってはコロナ感染より失業のほうが大きな問題である。
自分自身、失業するよりコロナに感染するほうがマシだと思ってしまう。
コロナで壊滅的な打撃を受けた中小企業の被害は少しずつ大きくなっている。これからは失業者による自殺や犯罪のほうがコロナより大きな問題になるかもしれない。

東京は今日も緊急事態宣言の中、街に電車に人が溢れているが、それでも感染者は減り続けている。よしこの調子だ。経済も大事にしよう。感染者数が日常レベルのうちはそれぞれ思いやりベースで最適なバランスで行動すれば良い。(もし圧倒的に感染者数が増えてしまったら、他国同様により強い自粛措置が必要な可能性はあるが、今回は出番がなさそうだ)

感染者数が増えてきたら緊急事態宣言を出し、それぞれがバランス良く自粛する日本の作戦は、一見場当たり的だがとっても合理的であり、実際にワークしているのだ。

良いぞ日本。

さて、それにしてもこのままオリンピックは中止になってしまうのだろうか?

見えない敵を前に肥大化し暴走する日本社会のヒステリーが、
この日を夢に幼少から走り続けたアスリートの一生の晴舞台を壊さぬよう願う。

菅澤 英司
菅澤 英司
bravesoft CEO&つよつよエンジニア社長です。よろしく!