中国の成都に出来たリアルVRジェットコースターに乗ってみた (in 成都欢乐谷) #11

近年、ジワジワと拡がりを見せるVR、なんでもやってしまえ精神の中国では、実はかなりVRが街に浸透している。たとえばネットカフェのようなVRカフェが出来たり、観光スポットの一角にVRコーナーが設置されていたりする。

成都には子会社がある関係でよく訪れていて、つい最近(2016年)の年末に成都欢乐谷をブラブラしてみたら、急に目の前にリアルVRジェットコースター(以下VRコースター)が登場した。
ちなみに、リアルVRジェットコースターとは何かというと、VRヘッドセットを付けて、本物のジェットコースターに乗り込むというものだ(勝手に命名)。ジェットコースターはVRアプリの代表例とも言えるほどわかりやすい利用ケースだが、それを実際にジェットコースターに乗りながら体験することができるのは新しい。リアルVRジェットコースター。展開して読むとリアルバーチャルリアリティジェットコースターとなり、なんともややこしい。

成都の成都欢乐谷について

成都欢乐谷

成都で一番大きい遊園地。開園は1998年。敷地面積は50.7万m2(東京ドーム10個分)。
来場者数は1日1万人程度。すでに大きい遊園地であるが、まだ工事中で、更に新たなエリアが拡大する予定。行ったときは平日のためか結構空いていて、大抵の乗り物は並ばずに乗れた。最近そこまで流行ってるわけでも無さそうだ。ちなみに入場料は3000円程度だった。VRコースターは2016年秋に登場したらしい。

VRコースターを発見!

VRCoaster_find

ふと園内を歩いていたらこの通り異様な光景を目にした。ひと目で感じる違和感。これは乗ってみなくては!何が起こるかわからない、それが中国の醍醐味。

並ばずサクッと乗れた、そして準備体操

VRCoaster_prepare

VRコースターの入り口を見つけてズンズン進む。行列はまったくできていない。このジェットコースターはちょっと古くて地味な感じで、なるほどVRを付けることで何とか盛り上げようとしているのかも。乗り場付近で開始時間を待っていると、なんと準備体操が始まった。なんとも微笑ましい。コースターの前半分に乗る人はVR無しで、後半分に乗る人はVR有りのようだ。VR有り無しでまったく別の乗り物になる。人気は3:7ぐらいの割合でやっぱりVR席が人気だ。

いざVRヘッドセットを装着!

VRCoaster_setup

席に乗り込むと、係員が1人1人にヘッドセットを渡してくれた。中身はAndroid端末(Samsung Galaxy S7 Edge)とのこと。ひとりまたひとりと装着していきなんとも異様な集団が出来上がる。何とも言えないドキドキ感。

QRコードを認識して席の場所を把握

VRCoaster_QR

ヘッドセットを付けてみるとAndroid端末のカメラでQRコードを読む画面になっている。座席の前のところにQRが貼り付けてあり、すぐに読み込むことが出来た。これによって端末にどの場所に座っているかを教えて、自分の場所にあった映像が表示される。読み込んだらちょっと待ってね画面が表示される。以外なほどカンタンで迷うこと無くスタートできた。

いざ出発!

VRCoaster_start

ヘッドセットをしてみてまず率直な感想は、「何も見えなくて怖い!」。何しろジェットコースターというただでさえ危ないとされる乗り物に乗り込んでいて、更に目隠しをされた状態なので、映像どうこうは抜きにしても普通に怖い。さらに目の前にはVRで状況にあった映像が表示され、初めての体験でとても新鮮。まさに異世界に放り込まれたような感覚だ。

VR映像の内容は?

VRCoaster_stages

ジェットコースターが進むと違うステージに切り替わったりする。大きく分けると3つのステージに分かれていた

1:断崖絶壁の中を危なっかしく走るステージ
2:そこら中に火が吹いていて竜に襲われそうになるステージ
3:最後に穏やかな平野で桜が舞う感動的なラストステージ

それぞれ完全に3DCGで作り込まれており、まさにゲームの世界に入りこんだようだった。3Dデータ自体はそこまで高いクオリティではなかったが、これはVR端末の性能の限界もあるためだと思うので、今後ますます高クオリティになっていくはずだ。

乗ってみての感想

realVRCoaster

まだまだ改善の余地はあるものの、総合的には新しくて面白い体験!いままでのジェットコースターではありえないような場所へトリップできるのが面白い。アイディア次第でもっと面白く出来ると思われる。

改善したいポイント

いくつか改善したほうが良さそうなポイントをメモ。

★VR酔いが若干起きた
 →これは最新のPSVRやHTC Vive等でかなり解決しているので改善を期待できる。

★たまにちょっとフリーズする 
 →これも端末スペックを上げたり、高性能デバイスに変えれば改善可能

★コンテンツがちょっと地味
 →スペース空間を走るとか、上空1000mとか。もっと異次元を感じたい

まとめ

VRコースター。これは2017年ブレイクしそうな予感。狭くてゲーム開発に強い日本でこそ、大ブームの可能性を秘めていると思われる。特にショッピングモールなど屋内でのジェットコースターで導入すれば、施設が狭いという課題を感じないようにできるかもしれないし、定期的にVRコンテンツが入れ替えていけば、2回、3回と乗ってもらうことができるようになり、リピート率アップにも繋がりそうだ。

まだ十分なクオリティじゃなくてもとりあえずやってみちゃう中国人の姿勢は見習いたいところ。まだまだVRのクオリティが上がるには時間がかかりそうだが、その先にはそれこそ無限の仮想世界が広がっているように思える。